ESMO2016演題レポート

2016年10月7-11日、デンマーク・コペンハーゲンで開かれた
欧州臨床腫瘍学会(ESMO)学術集会から、
大腸癌や胃癌など消化器癌の注目演題のレポートをお届けします。

 本年の欧州臨床腫瘍学会学術集会(ESMO congress 2016)はデンマーク・コペンハーゲンで開催されたが、期間中曇りや小雨の日が多く、平均気温も10℃前後と肌寒かった。しかしながら、PD-L1発現50%以上の非小細胞肺癌に対する1st-lineとしてPembrolizumab単剤療法の化学療法に対する優越性が第III相試験で検証されるなど、呼吸器領域の注目演題を中心に会場は熱気に包まれていた。
 消化器領域も、GOLD試験(胃癌に対するOlaparib)、LUME-Colon 1試験(大腸癌に対するNintedanib)など初めて公表される第III相試験が例年以上に多い印象であった。残念ながら、clinical practiceを大きく変えるような演題はなかったが、JFMC37-0801試験(結腸癌に対する術後補助化学療法としてのCapecitabineの投与期間)や大腸癌でのsidednessに関するspecial sessionは、実臨床での治療レジメン選択に影響を及ぼしうる発表であった。2017年には、消化器癌領域でも治療成績の向上に繋がる発表が行われることを期待したい。

谷口 浩也 先生


愛知県がんセンター中央病院
薬物療法部 医長
(監修、大腸癌レポート)

成田 有季哉 先生


愛知県がんセンター中央病院
薬物療法部 専門員
(胃癌・食道癌レポート)