本年の欧州臨床腫瘍学会学術集会(ESMO congress 2016)はデンマーク・コペンハーゲンで開催されたが、期間中曇りや小雨の日が多く、平均気温も10℃前後と肌寒かった。しかしながら、PD-L1発現50%以上の非小細胞肺癌に対する1st-lineとしてPembrolizumab単剤療法の化学療法に対する優越性が第III相試験で検証されるなど、呼吸器領域の注目演題を中心に会場は熱気に包まれていた。
消化器領域も、GOLD試験(胃癌に対するOlaparib)、LUME-Colon 1試験(大腸癌に対するNintedanib)など初めて公表される第III相試験が例年以上に多い印象であった。残念ながら、clinical practiceを大きく変えるような演題はなかったが、JFMC37-0801試験(結腸癌に対する術後補助化学療法としてのCapecitabineの投与期間)や大腸癌でのsidednessに関するspecial sessionは、実臨床での治療レジメン選択に影響を及ぼしうる発表であった。2017年には、消化器癌領域でも治療成績の向上に繋がる発表が行われることを期待したい。
谷口 浩也 先生
愛知県がんセンター中央病院
薬物療法部 医長
(監修、大腸癌レポート)
成田 有季哉 先生
愛知県がんセンター中央病院
薬物療法部 専門員
(胃癌・食道癌レポート)
治癒切除が行われたstage III結腸癌患者に対するCapecitabine療法6ヵ月 vs. 12ヵ月投与の比較第III相試験(Oct.10 469PD)
2016.11.04公開
標準治療不応後の切除不能進行・再発大腸癌患者に対するNintedanib+BSCとプラセボ+BSCの比較第III相試験(Oct.9 LBA20)
2016.10.17公開